『薬剤師って将来性がないよね』『薬剤師はAIに代わられそうだよね』なんて意見もありますよね。
確かに、資格を持っているだけでは安定した職業とは言えなくなっているのは事実。
薬剤師が一番就職先として多く選ぶ薬局。
その薬局で働く上で、どのようなことを身につけていけば、薬剤師として将来生き残れるのでしょうか?
この記事はこんな人におすすめ!
- 門前薬局でしか働いたことがない
- 次の就職先をどのような薬局にしようか迷っている
- 門前薬局と面薬局の違いを詳しく知りたい
薬剤師にとって将来性があるのは面薬局と門前薬局どちら?
面薬局、門前薬局という名前は、薬剤師ならほとんどの方はご存じだと思いますが、面薬局は特定の医療機関のすぐ近くにあるわけではなく、幅広い医療機関の処方箋を受け付けている薬局です。
それに対し、門前薬局は総合病院、個人病院など違いはありますが、病院を出てすぐの場所に位置する薬局です。
以前は門前薬局主流で、特に大手の調剤薬局はほとんどが門前を狙って出店していたのではないでしょうか。
患者さんも医薬分業となってからも、『薬は病院の近くでもらうもの』との認識が強く、たとえ待ち時間が長くても他の薬局を利用するという選択肢がないことが多かったですね。
ところが、調剤併設型のドラッグストアなどが出店を増やし、それらが買い物のついでに受け取れることや、ポイントカードが使えるなど付加価値があることで、面薬局の認知度も上がり、好きな薬局を利用するという患者さんが増えました。
以前は新卒薬剤師の就職先といえば門前薬局というパターンが多かったですが、今では調剤併設型ドラッグストアがかなり人気の就職先となっていますね。
門前薬局での経験しかないという方もいるかもしれませんが、どちらが就職先として魅力的か見ていきましょう。
面薬局
面薬局は以前は処方箋枚数が少ないことが、かなりのネックだったように思います。
特に新卒や若い時期に調剤の数をこなせないことには話になりません。
ところが、今では調剤併設型のドラッグストアなどの面薬局も、いわゆる普通の薬局として扱われるくらいの枚数を受け付けている薬局がほとんどで、面薬局だから処方箋枚数が少なすぎて勉強にならないということは無くなりました。
特に新卒や経験の少ない薬剤師は、処方箋枚数の多い店に配属されることが多いので、勉強にならないということは全くないと思います。
面薬局のいいところ
面薬局のいいところとしては、
- 幅広い処方を見ることができる
- 様々な病院の処方に対する適応力を身につけることができる
- Drに変に気を使う必要がない
- 同じ処方ばかりで飽きるということがない
このような感じです。
とにかく近隣の病院以外も様々な病院の処方が来て、門前であればいつもの感覚でわかるような処方も、初めて見る指示だったりして頭を悩ませることもありますが、1年も経験すればかなり鍛えられるような気がします。
門前薬局が学生の頃の定期テストのような感じとすれば、面薬局は実力テストのような幅広い知識と経験を求められるように思います。
門前薬局でも総合病院ではいろいろな科に対応するので幅広い知識は必要ですが、面薬局ではDrのことをよく知らないことが多いので、その辺が難しいと感じることがあるかもしれません。
また、Drに変な気を使わなくて良いということですが、門前薬局で働いていてDrから、『余計なことを言わないで』とか、『なんでこんなことを言ったんだ』みたいなことを言われた経験はありませんか?
これは薬剤師として本当に腹が立つことですが、治療の妨げになるようなことを言ったわけではないのに、『余計なこと』だの、『ただ薬を渡せばいい』だの理不尽なことを言われることがありますね。
特に個人病院の門前薬局では、Drとの関係が密であることも多いので、薬剤師側は気を遣ってDrの言いなりになってしまうこともあると思います。
これが面薬局ではDrに気を使うことなく、薬剤師として必要な服薬指導ができるということは大変いいことだなと感じます。
面薬局の困ったところ
逆に面薬局の困ったところは、
- 在庫のないことが多い
- 在庫管理が難しい
- Drの指示の細かいニュアンスを理解できないことがある
- 期限切れの処方箋を時間し、ゴネる患者さんが多い
このような感じです。
幅広い処方箋を受け付けるということは、それだけ在庫のない薬の処方も多くなります。
患者さんとしては、『処方箋はどこの薬局に出してもいいんでしょ?』という認識ですが、当たり前のようにその場で揃うわけではないんですよね。
理解されている患者さんは取り寄せになる旨を伝えてもわかってくれますが、説明してもなかなか理解されない患者さんもいて難しいと感じるところです。
また初回すぐに用意できなかった時に次回分を前もって用意しておくこともありますが、継続して来てくれるとも限らず、来ないと思ったら数ヶ月後にひょっこり来たりして、『また薬ないのか』と文句を言われるパターンはよくある話です。
最近では0410対応などで、普段の受診時は門前薬局でもらっていても、オンライン診療の時だけ自宅近くの薬局を利用するというパターンもあります。
また長く続いている医薬品の供給不足問題などで、突然新規の処方箋を持ち込まれても薬局で購入実績がないと卸が入荷してくれない薬もありますが、これも患者さんが理解してくれず対応が難しい場合がありますね。
このように、面薬局での在庫管理は本当に難しいと感じます。
面薬局でのメリットとしてDrに気を使わなくていいというのを挙げましたが、これはデメリットにもなります。
門前薬局ではDrとの関係が密なことが多いので、特殊な指示であってもDrの考えや詳しい使い方を理解していることが多いと思います。
これが詳しく知らない面薬局では、もしかしたら上手く伝えられていない部分があるかもと感じることがあります。
Drによって指示の細かさは本当に様々なので、これが面薬局の難しさでもありますね。
そして期限切れ処方箋。
これも皆さん対応に困った経験があると思いますが、今では疑義照会による期限の延長ができないので、患者さんから病院に連絡をして再発行という流れが多いかと思います。
これが門前薬局だった場合は、受診した病院に戻ってと言いやすいのですが、遠く離れた薬局に来てしまった場合病院に戻ってというわけにもいかず、再発行にとても手間がかかります。
本来は期限を切らしてしまった患者さんが悪いのですが、それを棚に上げて薬局の対応が悪いとゴネることが多く本当に対応に苦慮します。
門前薬局
門前薬局と言っても、総合病院の門前と、個人病院の門前ではかなり雰囲気も変わってきます。
こちらを分けて見ていきましょう。
総合病院の門前薬局
総合病院の門前薬局は、病院の規模にもよりますが、だいたい複数科を持っていることが多いので、処方内容としては幅広く学べると思います。
特に規模の大きい病院では、1日300〜400枚以上処方箋を受け付けているところもあります。
そして、それだけの枚数をこなすということは、薬剤師の人数も多く、様々な年代の人が勤務しているので、薬剤師としての学びも多いでしょう。
人数が多いと新人のフォローもしやすいので、経験が少なくても余裕を持って仕事をこなせると思います。
たとえ新人として配属されても、とにかく1日にこなす枚数が多いので、すぐに処方内容にも慣れ、スピードも上がってくるでしょう。
とにかく経験を積みたいという場合に、総合病院の門前薬局はおすすめです。
個人病院の門前薬局
これは個人的には一番つまらないと感じていて、あまりおすすめはしませんが、とにかく毎日淡々と、あまりせかせかせず働きたいという人にはいいかもしれません。
私が新人の頃に配属された店舗が、Dr一人の個人病院の門前薬局だったのですが、とにかく毎日毎日同じような処方ばかりでつまらない。
新人でやる気に溢れていた時期だったのに、処方内容のレパートリーが少なすぎて、すぐに飽きてしまいました。
Drが一人であれば、来局のペースもそれほど早くないので、時間に追われるということは少ないと思います。
そんなつまらないと感じる個人病院の門前薬局ですが、唯一のメリットとすれば、患者さんと仲良くなりやすいことかもしれません。
門前薬局を利用する患者さんは、受診→門前薬局利用という流れができているので、ほぼ毎回受診のたびに来局されます。
面薬局利用の患者さんのように、『今日は違う薬局でもらう』ということがありません。
薬局の規模もこじんまりしていることが多いので、一人の患者さんに対してどの薬剤師も顔を知っているという感じで、患者さんもひと喋りしていくことが多いです。
これは患者さんの細かい変化に気付きやすくもなるので、総合病院の門前薬局のように数をこなすのに対して、個人病院の門前薬局では一人ひとりの患者さんと深く向き合いやすくなるという違いがあると思います。
あまり時間に追われず、一人ひとりの患者さんとゆっくり向き合いたいという人にはおすすめです。
まとめ
今回は薬剤師にとって将来性のある薬局の就職先についてお伝えしました。
個人的には、大学卒業後の若いうちは総合病院門前で数をこなし、面薬局でさらに経験を積む、個人病院門前はある程度歳を取ってからでもいいかなと感じます。
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